営業職の中でも「メーカー営業」は転職を希望する人が多く、とても人気の職種となっています。


この記事では、「そもそもメーカー営業とはどのような仕事なのか」「なぜ転職先として人気なのか」「メーカー営業でおすすめの転職先業界」などメーカー営業の転職に役立つ情報を網羅的に紹介します。
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目次
メーカー営業の仕事内容とは
数多くある営業職の職種の中でも、メーカー営業は基本的にモノづくりに直結している製造業の世界に属しており、その顧客は企業となります。
製造といっても、食品メーカーや自動車メーカーなどのエンドユーザーに近い位置にある企業から、サードパーティー系の素材の原料を作る企業まで様々です。
新しい素材や原料、製品が登場した時に既存取引先に売り込みにいくスタイルがほとんどだという特徴を持ち、既に取引のある企業への営業を行いますので、ある程度は気持ちを楽にしながら会話をする事が出来るという現場です。
また、自社バックアップのもとで活動を行えますので、比較的初心者であっても既存のブランド力が働いて抵抗なく飛び込む事が出来る世界となっています。

例えば自動車メーカーは、製品に対しての細かな問い合わせや要望も多い為、非常に忙しさを感じる現場が多くあります。
逆に素材メーカーの場合は、加工されていないものを取り扱っている為、その分種類も少なくて問い合わせ自体も少ない現場が多い傾向です。
同じメーカーでも、取り扱っている製品によって忙しさやスケジューリングの大事さも変わってくるので、実際に自分がどのようなメーカーにつきたいのかは、転職をする前に必ず考える必要があると言えます。

メーカー営業への転職が人気の理由
先述の通り、メーカー営業は転職先として人気の高さがあります。
特に30代後半から40代前半の層からの人気があると言えます。
その理由というのが、以下のような項目にあります。
人気の理由①日々のノルマに追われない
メーカー営業は、営業職で一般的にイメージされる「飛び込み営業」はほとんど無いです。いわゆる「ルート営業」と呼ばれるものがメインです。
すでに取引実績のある企業に営業をするため、門前払いを受けるようなストレスはなく、比較的快適に仕事を進める事ができます。
新商品の売り込みはもちろんの事、アフターケアで伺った際に不具合等をヒアリングして別の商品を提案してみる、といった顧客ファーストでの営業が十分に可能です。
よって、「1日○件目標!」というような、目に見えるノルマが日々積み重ねられている訳ではありませんので、時間に追われず安心して仕事をする事が出来る環境にあります。
ノルマの有無は、働く人の性格によって受け取り方が変わると思いますが、やはりそれが日常的な圧迫となると精神が消耗してしまう傾向にあります。

2.安定している
営業職は、売上がしっかりと確立できないと、どうしても収入の面でも評価の面でも査定が厳しくなり、メンタルを含めた悪循環と不安定化に陥りがちです。
一方、メーカー営業の場合は、定番の既存商品であったり、既に業界のシェアを獲得している高い評価がなされている商品であったりと、そうした商材を取り扱う事がメインとなりますので顧客側の理解が早いのです。
最初から「ここの商品は安心」と思ってくれている企業も多いので、営業がしやすく、新しいモノができても拡販しやすいというメリットがあります。

元々、他分野で営業を経験していた方はそうした安定感を求めているケースが多いので、ここに転職対象としての人気が出るという訳です。
メーカー営業の転職先を決める際のポイント
メーカー営業は求人数も多く、その企業先も大きな場所から中小まで様々です。
「中小企業のほうが転職しやすいかな」「せっかくなら大手企業でがんばりたい」など様々な希望があると思います。
その際、メーカー営業として転職先を決めるポイントというものがあるので確認していきましょう。
・ルート営業がどうか
メーカー営業の場合、ほとんどが「既存顧客をまわるルート営業」となります。
その為、営業職の中では比較的やりやすくて人気の職種ですが、絶対に「新規開拓の営業」を行わないという訳ではありません。
中には、新人のうちに数回の新規開拓を挑戦して貰おうという研修的なシステムを採用している企業や、あるいは当たり前のように新規開拓営業がメインだ!という企業もあります。
既存顧客ルート営業では、先のスケジュール管理能力が重要な意味を持ちます。一方、新規開拓営業では、先のタフな姿勢が重要な意味を持ちます。
それぞれ、大きく感覚が違って来ますので、企業先がどのような営業方法をメインに取り扱っているのかについて、事前に調べておくと良いでしょう。

・業界内での位置付け
「業界内における企業の位置付け(製品別にどれだけのシェアがあるか、グループ売上がどの程度か等)」というのはやはり重要です。
位置付けが高ければそれだけ安定して仕事を継続して続けやすい環境だとイメージできます。
特に、独自技術を作り出しているような企業は、「ここだけの強み」を持っていて認知度も高いので、メーカー営業をしやすい傾向が高いと言えます。

自分にとって営業提案がしやすく働きやすそうな職場を、転職先選びのポイントにして貰うと良いでしょう。
・取扱商品数
取扱商品数が多ければ多いほど自分の知識を上書きしていかなくてはいけませんし、顧客からの問い合わせも多岐に渡ります。
これについては「勉強になる!」と思う方と「負担になる」と思う方、その双方がいると思うので、自分の希望先がどれだけ取扱商品数を扱っているのか、その点にも着目してみましょう。
商品数が少なければそれだけ知識を深掘りしていけますし、商品数が多ければ知識や提案の幅広さにも繋がります。

要するに、自分の営業イメージに見合った取扱商品数を見極めるのが、大切だという事です。
メーカー営業の転職におすすめな業界
次に、メーカー営業の転職におすすめな業界を紹介します。
①化学素材メーカー
メーカー営業の転職におすすめな業界1つ目は「化学素材メーカー」です。
化学素材メーカーは既存のクライアントに決まった商品を営業します。つまりBtoBの法人ルート営業が主流なため、土日祝もゆっくり休める上に残業が少ないのです。その楽さから人気の高い業界となっています。

化学素材メーカーの特徴
・少数精鋭…部署あたり多くて5人程度
・売上が高い…数十~数百億円
・ビジネスの実績化まで時間がかかる…10年単位(その分安定性が高く同じ仕事が多い)
・海外駐在になる可能性が高い…海外売上は全体の5割以上のため海外営業をする確率が高い
・品質が安定していて新商品が少ない
新商品の投下数が少ない=新規開拓が少ない、品質が安定している=クレームが少ないという特徴から、化学素材メーカー営業が楽で人気な理由が分かりますね。
②電子部品メーカー
メーカー営業の転職におすすめな業界2つ目は「電子部品メーカー」です。
こちらも既存のクライアントに決まった商品を営業する BtoBの法人ルート営業のため、土日休みがしっかり取れます。残業も少なく化学素材メーカー同様、人気があります。
電子部品メーカー営業の特徴
・クライアントは技術者や購買部門…自社製品知識や詳しい説明が出来る必要性あり
・販売計画を制作する…それにより生産計画が立てられる
・仕事…顧客の品質、納期調整、価格、在庫管理の窓口になる
・専門性を磨こうとする意志が強い人が多い
・裁量や自由度が高い

③飲食メーカー
メーカー営業の転職におすすめな業界3つ目は「飲食メーカー」です。
一度ヒットを出してロングランする商品が出れば、数十年は安泰になるという世界です。営業対象もスーパーや食品専門商社がメインなため、激務な企業が少ないことが特徴です。
他の営業職と比較してもゆったりと働きやすく、突発的なトラブルがなければ残業や休日出勤もほとんどない場合が多いです。
飲食メーカー営業の特徴
・設備投資がかかるため参入障壁が高い…競合他社が少なく「頑張らなくても売れる」
・商社が間に入っている…在庫の調整、出荷依頼等すべて請け負ってくれる
・営業先は卸会社、販売店(デパート、スーパーマーケットなど)、飲食店
・残業代や福利厚生などの待遇もしっかりしている企業が多い
・資格なし。業界未経験でも採用される可能性あり


④自動車メーカー
メーカー営業の転職におすすめな業界4つ目は「自動車メーカー」です。
実際のところ、自動車の販売自体は専門のディーラーに委ねているため、メーカー営業のメインの仕事は戦略や営業企画を考えたり、数字や目標の管理をすることになります。
以下により詳しい特徴を挙げてみます。
自動車メーカーの営業の特徴
・仕事内容…ディーラーへの営業支援と、大口顧客の企業や官公庁向けの営業
・大手企業が多く、福利厚生が充実して年収が高い傾向にある
・海外営業が出来る可能性がある
・資格はなし。業界未経験でも採用される可能性あり
・求人は比較的少ない

以上、メーカー営業の転職におすすめな業界を4つご紹介しました。
メーカー営業の転職に必要なスキル
メーカー営業は「この資格を持っていなければ仕事を行えない!」という条件はありません。
営業職のほとんどが、自分の「腕っぷしひとつ」でのし上がっていけるような世界ですので、既存の資格よりも積み重ねられた人間力が重要視されるのです。
特にメーカー営業の顧客は基本的に法人が相手となります。
それだけに、人間力というものはとても大切で、「マナー」や「身だしなみ」といった基本的なスキルの他にも、「この能力があると円滑に業務を進行出来る」という観点からも評価がされます。

スケジュール管理能力
メーカー営業は製造業に直結する分野になりますので、「仕上がりまでにどれくらいかかり」、「納品は大体これくらいである」といった具合に、比較的自分の受け持つ工程の見通しを把握しやすい業種だと言えます。
顧客に対しても「この商品であれば、これくらいの日程で納品できます」というように、納期の短さや的確さを営業ポイントに使っている人が多くいるのです。
その為、「納品までのスケジュール管理」を計画立てる能力は、メーカー営業を含めた営業職では非常に重要なスキルとなります。
また、素材や原料を取り扱っている業界であれば、顧客が求めている商品の在庫が現在あるかどうかも把握しているような人が好まれます。

また、メーカー営業は複数案件を同時に進行するタイプの業務を行う事がほとんどです。
この点についても、マルチタスク形式できちんとスケジュールを把握しておかなければ、「この会社の納期いつまでだっけ?」「もうあの会社には返事をしたっけ?」「あの会社との交渉はどこまで進んでいたっけ?」と、混沌とした状態に陥ってしまう事があります。
このように、スケジュール管理能力がきちんとできる人じゃないと務まらない仕事、それがメーカー営業なのです。
提案をわかりやすく伝える能力
メーカー営業は、素材や原料を取り扱う事も多いですし、直に見て触れてもらえない商品の場合も多くあります。
よって、営業を行う際には、どのような商品を顧客が求めているのかヒアリングし、自社に満足してもらえるようなサービスや商品が存在しているかを徹底して検討する必要があるのです。
相手のニーズに即時働きかけるような提案をする事がメーカー営業の醍醐味とも言えるので、「自社商品の知識や自社の状態を網羅しておく事」が基本となります。
その上で、営業は理解している自社商品や自社状態を、分かりやすい形で、シンプルに相手に伝わるような説明を展開しなければなりません。

そうならない為にも、相手の希望を掘り下げた上で、「自社の商品ではこういった部分でお役に立てると思います」という明確な提案を行う能力がないと、成績を残すのは難しくなります。
既存の商品群から提案する事はもちろん、製造の種別によってはゼロから相手のニーズに合わせて新たな開発を提案も出来ますので、トータルコーディネートの幅広い提案を明確に説明できるような能力が望まれるのです。
拒否されてもタフである能力
営業職は、どうしてもクレーム対象を一身に受けるような立場に陥る事があります。
個人が相手のクレームもなかなか厳しいですが、企業が相手の場合は取り扱っている金額も大きく相手側からの期待感も高いので、クレームになるときはかなりの大問題に発展しがちです。
顧客側も商品の納品がなければお客さんに配送できない、不良品だったので提供できないという事があれば、それは企業運営にとって致命的な損失へと繋がります。

これは避けて通れない道なので、ちょっとクレームを受けた、トラブルが起きたというだけでしゅんと気持ちが折れてしまっては、仕事を進める事が出来ません。
タフである事が、何としても必要な現場であるといます。
まとめ:メーカー営業への転職は長く勤めるには最適
このように、メーカー営業はどうして人気なのか?についてお伝えしました。
「安定感」が大きなポイントとなりますので、30代以降の人は「次の転職は最後にしたい」と思って、そちらを選択する傾向があります。
ただ、一言でメーカー営業といっても取り扱っている商品も、その働き方のビジョンも、様々です。
まずは、自分が最終的にどのようなキャリアを築きたいか、理解をしておく必要がありますね。
自分のキャリアがなかなか見えないという方は、ぜひ、キャリアプラニングのプロフェッショナルチーム、SPACE JOBにお声掛け下さいませ。